【パーソルホールディングス株式会社】HRogリストを活用し、AIモデル精度と営業支援の質向上を実現
- 企業名
- パーソルホールディングス株式会社
- https://www.persol-group.co.jp/
(左)パーソルホールディングス株式会社
AI・DX本部 グループAI推進部 データサイエンス室 シニアデータアナリスト
伊波 毅尋 様
(右)株式会社フロッグ
執行役員 営業統括
水野 純
全国で多様な人材サービスを展開し、グループ全体で300以上の商材を扱うパーソルホールディングス株式会社。
同社では、グループ横断でお客様に最適なサービスを届けるため、AIモデルを活用した営業支援体制を構築しており、そのデータ基盤として「HRogリスト」を活用しています。求人データをもとに仮説を立て、成果につながる条件を可視化することで、グループ各社への営業展開や提案の質を高めています。
HRogリスト導入の背景や具体的な活用法、フロッグの営業担当・水野との連携の中で感じた価値、そして今後の期待について、法人マーケティング部の伊波様にお話を伺いました。
お客様にとって最適な提案を実現するために、求人データを活用したかった
——HRogリストの導入を検討した当時、どんな課題がありましたか?
伊波様「グループ全体で300以上のサービスを展開するパーソルホールディングスでは、各事業会社が自社サービスのみを提案するのではなく、グループ全体の中からお客様にとって最適なサービスを提案できるよう、全社一丸となって営業活動に取り組んでいます。
当社はホールディングカンパニーとして、お客様の課題を適切に抽出し、受注確度の高い案件を各事業会社にパスする役割を担っています。その中で、私たちの部門では『どんな特徴を持つ会社に、どの商材を提案すればいいのか』を分析するAIモデルを構築しているのですが、手元にあるデータだけでは精度が十分でないことが課題でした」
——HRogリストを知ったきっかけと、最終的に導入を決めた理由を教えてください。
伊波様「パーソルキャリアをはじめとした、いくつかのグループ会社がHRogリストを購入していると聞き、求人データを活用したAIモデルの構築に興味を持ちました。営業担当の水野さんに自社の構想をお話しした際、『この方なら安心して任せられる』と感じたことも印象に残っています。
他社サービスや社内クローリング、グループ会社のほうで購入しているものを使わせていただくなど、いくつかの案も検討しました。ただ最終的には、過去の求人データを蓄積しているサービスはHRogリスト以外にないと思い、導入を決めました」
水野「当初の構想では、AIモデルも含めて、全社を横断するような統合型の基幹システムを構築したいというお話もありましたね。パーソルグループ各社さんとのご契約がありますので、その構想が実現して契約が一本化されれば自社の利益にマイナスの影響も出るかもしれないと感じていましたが、それ以上に『パーソルグループ全体にとって最善の形を実現すること』が大切だと思い、できる限りのお手伝いをさせていただきました。通常メニューにはないご相談にも対応しながら一緒にプロジェクトを進めることができたのは、弊社にとっても非常に貴重な経験でした」
営業精度を高めるAIモデルの構築にHRogリストが貢献
——現在HRogリストをどのように活用していますか? 利用用途や購入タイミングを教えてください。
伊波様「自社のAIモデルにHRogリストのデータを投入し、そこから抽出した情報と、弊社の受注実績を掛け合わせて、特定条件における商材ごとの受注傾向を分析しています。『doda掲載企業』『求人に特定のキーワードが含まれる企業』など、あるサービスの受注率が高い企業の条件について仮説を立て、その仮説の真偽を検証するイメージです。
その中で相関関係が強い条件が見つかれば、その条件で見込み顧客をスコアリングし、各事業会社のセールス部門にパスしています。
随時新しい媒体を購入して仮説立てと検証を行っており、その先のスコアリングに進んだ媒体は、だいたい四半期に一度、15媒体ほど購入させていただいている形です」
水野「分析フェーズのデータについて、導入当初はローデータをそのまま納品していましたが、現在は伊波さんたちと連携しながら『この商材はこういう条件下で受注率が高まるのでは』という仮説を立て、データを仮説検証しやすい形に加工・納品させていただいています」
伊波様「そうですね。採用市場のトレンドは刻々と変わるため、以前は相関のあった条件が合わなくなったり、想定していなかった条件が受注率向上に寄与するようになることも起こり得ます。 定期的にスコアリング条件の見直しが必要な中で、『どんな要素が成果に直結しそうか』という観点の精査は、求人データのプロフェッショナルであるフロッグさんの力をぜひお借りしたいところですね」
——HRogリストを導入して得られた変化はありますか?
伊波様「HRogリスト単体での効果検証はしていませんが、AIモデルを活用してからグループへの取次ぎが活発になりました。そのうちの一要素として、HRogリストのデータが後押しになっているのではないかと感じています」
独自の「共通業種・職種」項目で、媒体をまたいだ分析が可能に
——HRogサービスの魅力はどんな点にあると感じていますか?
伊波様「分析の際に助かっているのが、HRogリスト独自の『標準業種・職種』という項目を持っていることです。本来、各求人媒体で業種・職種分類の基準は異なっており、横断的な分析は難しいので、こうした項目付与によって全体の傾向を見渡せるのはありがたいですね。また、繰り返しになりますが、過去データの蓄積が豊富であることも他にはない強みだと感じています」
水野「業種・職種の共通項目についてご評価いただけるのは非常にありがたいですね。フロッグ標準職種では求人内容に含まれるキーワードを参照し、このキーワードが入っているならこの職種が近そうだ、というように振り分けを行っています。弊社としては近年新たに市場に現れた言葉、例えば『DX』などもキーワードとして整理していきたいのですが、これまで使っていた定義を変更してしまうと経年比較が難しくなるというジレンマもあるため、過去との整合性を保ちながら慎重に進めたいポイントでもあります」
——分析以外でHRogリスト活用法があれば教えてください。
伊波様「営業企画部門ではBIツールにHRogリストのデータを投入し、インサイドセールス向けのアタックリストや優先順位付けに活用しています。購入をきっかけに、こうした動きが進んだことも良かった点です」
社内外の「橋渡し役」として介在価値を発揮。今後はさらなる提案力・データ精度に期待
——営業担当・水野とのやり取りで印象的だったことはありますか?
伊波様「AIモデルに取り込むために各グループ会社の受注実績データを集めていたところ、たまたまグループ会社の担当者と水野さんがつながりがあり、間に入って取り次いでくれたことがありました。フロッグさんがハブになってくれたことで、自社内で連絡するよりもスピーディーに情報を集めることができたのはありがたかったですね」
水野「フロッグの営業は『HR業界で一番社内な社外の人』、つまり一番身近で頼ってもらえる存在を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです。パーソルホールディングスさんほどの規模になるとグループ間の連携も大変だと思いますので、橋渡し的な役割を担えたのは光栄でした」
——今後、HRogリストやフロッグに期待することがあれば教えてください。
伊波様「今後期待することは2つ。1つは、すでに一緒に取り組んでいる『成果につながる条件の仮説』のさらなる提案です。フロッグさんに出していただいた仮説をもとに分析を進めることで、弊社業務の負担減になるだけでなく、互いに面白いことができる可能性があるのではないかと思います」
水野「おっしゃる通りですね。弊社が今後営業活動する上でも色々な気づきがありそうなので、ぜひ今後も力を入れてやっていければと思います」
伊波様「もう1つは、法人番号付与の精度向上です。企業データに対する法人番号の紐付け率の精度が上がれば、活用の幅がさらに広がるので、改善に期待しています」
水野「まさに今、企業データベースとの連携を視野に入れ、名寄せの精度向上に向けた基盤整備を進めています。関係会社との協業も進行中で、なるべく早く改善した形でお届けできるよう動いているところです。今後も『扱いやすく、信頼できるデータ基盤』を目指してアップデートを続けていきます」